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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第1回
「発明」「発明の実施」の定義の改正
 
『NOASTEC』第13号 平成14年7月23日発行
  平成6年以来、特許法の改正が頻繁に行われているが、まず、「発明」、並びに「発明の実施」の定義の改正(特許法2条3項)について述べる。

 いわゆるインターネットを始めとする情報通信技術の発達により、ビジネスモデル特許等のソフトウエア関連発明についての特許出願が増大している。
近年ではプログラムによる情報処理がハードウエア資源(コンピュータ)を用いて行われる場合、そのプログラムは特許法上の発明に該当するとされているが、これは特許庁が審査基準、運用指針を逐次見直してきた結果にすぎず、特許法上には明確な定義規定が存在しなかった。
そのため、プログラムが物の発明及び方法の発明のうちいずれに該当するか、又、ネット上でのプログラムの配信行為等が実施に該当するかを特許法上明確化しておくことが、法の運用上好ましいわけである。
つまり、特許権が発明の独占排他的実施を認める権利である以上、「発明」の定義並びに「発明の実施」の定義は極めて重要である。そこで、2条3項1号、並びに2条4項を改正し、プログラムが物の発明に該当すること、並びにその実施態様を明確化した。このうち、2条3項1号を参考までに示す。

 第2条3項 この法律で発明について「実施」とは、次に揚げる行為をいう。
  第1号 物(プログラム等を含む。以下同じ)の発明にあたっては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ)をする行為


 ここで、「電気通信回線を通じた提供」とは双方向のネットワークを通じたプログラムの提供行為等(ダウンロード等)をいい、有線、無線を問わない。
改正された定義により、ソフトウエア関連発明の実施態様が明確化され、実施という問いに対し明確な解答を提供したと言える。
一方、ハードウエア資源を用いない純粋なビジネス方法については、「自然法則を利用」(特許法第2条1項)という発明の成立要件の改正が必要になるが、自由な経済活動を阻害する等の懸念から現時点での改正は見送られている。

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