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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第2回
出願請求期間の短縮 早期公開制度
 
『NOASTEC』第14号 平成14年8月23日発行
  今回は出願審査請求期間の短縮、並びに早期公開制度について解説します。

 昭和45年の特許法改正により、出願審査請求制度が導入され、審査請求のあった特許出願についてのみ実体審査を行うようになりました。
従来の同制度における審査請求期間は、特許出願の日から7年でしたが、それを平成13年10月1日の出願から3年に短縮する改正が行われております(特許法第48条の3)。

 改正の趣旨ですが、従来の同制度の下では審査請求の多くが6,7年目ぎりぎりに集中して行われるため、長期間に亘って権利の帰趨が未確定な出願が大量に存在するという問題がありました。
未確定な出願が多数存在すると、例えば特許出願に含まれている発明を実施しようとする企業は、その出願に対する監視を長期に亘って行わなければならない等、企業活動を停滞させる一因ともなっていました。
また、欧米では我が国よりも審査が早期に行われるため(米国ではすべての出願が審査され、欧州特許庁では請求期間は2年)、特許権侵害訴訟が米国を中心に提起される等、日本特許の空洞化を招くおそれが出てきました。
そこで、諸外国の法制や、出願の価値判断の期間としての妥当性を考慮した上で、平成13年10月1日の出願より、出願審査請求期間を7年から3年に短縮する改正を実施しました。

 また、従来より特許出願の日から1年6ヶ月後に原則としてすべての特許出願の内容を公開する出願公開制度(特許法64条)がありますが、これに加えて、1年6ヶ月以前でも出願人の請求により特許出願の公開を可能とする早期公開制度(特許法64条の2)が平成11年法改正によって導入されました。
早期公開制度の導入の理由は、例えば、特許出願後に当該特許出願に係わる発明を実施している第三者に対しては、警告等の一定要件下で補償金の支払いを求めることができるわけですが(特許法65条)、この補償金請求権の行使は出願公開が要件とされるため、従来の出願公開制度下では出願から1年6ヶ月間、補償金請求権を行使できないという問題が生じていました。
そこで、補償金請求権の早期行使を可能とするべく、早期公開制度(特許法64条の2)を導入したわけです。
なお、補償金を請求された第三者が対象となる特許出願の早期決着を望む場合等を考慮して、出願人以外の第三者が審査請求可能である(特許法48条の3)ことは従前通り維持されております。

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