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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第5回
先行技術文献開示制度
 
『NOASTEC』第17号 平成14年11月22日発行
 今回は先行技術文献開示制度について解説します。

 従来の特許出願の明細書における発明の詳細な説明においては、従来技術については出願人が知りうる先行技術文献を記載することが推奨されるに止まっておりましたが(特許法施行規則様式29)、平成14年9月1日以後の特許出願については、出願人に先行技術文献を明細書中に開示することを明確に義務付けることとしました(特許法3642号)。

特許出願の審査を行う上で、常に行われるのが先行文献の技術調査です。
特許要件である新規性、進歩性にしましても(特許法29条)、その判断基準となるのが先行文献に、特許出願に係る発明(以下、出願発明とする)と同一の発明が記載されているか(新規性)、或いは同一でないにせよ文献記載の発明から出願発明が容易に考えられるか(進歩性)が問題となります。
即ち、審査は先行文献調査にかなりの労力が費やされると言っても過言ではありません。

 特許庁の審査官は、出願発明と関連のある先行技術とを比較することによって特許査定を行い、又は拒絶理由を通知し、拒絶理由の解消しない出願については拒絶査定を行うわけです。
審査請求可能期間が出願の日から3年に短縮され、平成14年10月1日の出願より実際に適用されています。
このため、審査請求件数の増大に伴って審査期間に遅延が目立ち始めていることも今回の開示制度導入の理由の1つと考えてよいでしょう。

 また、出願人サイドとしましても、近年ではインターネットによる特許電子情報図書館(IPDL)を無料で利用することができ、出願人が得られる特許情報も増加しています。出願人が自ら調査するということは、他社の研究開発動向を知る上で大いに参考になりますし、出願人自身が先行文献を積極的に明示することで、審査の促進に資するものと考えられます。そこで、平成14年法改正により本制度を導入したわけです。
以下に、参考までに特許法36条第4項第2号を示します。

特許法36条 一部略
 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
  その発明に関連する文献公知発明(第29条第1項第3号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願のときに知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他その文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

 この規定に基づいて、出願人は刊行物の名称や、インターネット上にアクセス可能な発明についてはその情報を特定するURLを明示することが必要となりました。

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