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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第6回
先行技術調査のすすめ
 
『NOASTEC』第18号 平成14年12月20日発行
  前回まで5回に亘り、特許法の改正について説明させて頂きましたが、勿論、特許法改正のすべてを言い尽くしたわけではありませんが、今回は知的財産の活用という点に重点を移して、日ごろのTLO業務を通じ、感じていること等を述べたいと思います。 

 一口に知的財産と言いましても、特許、著作権、ノウハウなど、その種類は多岐に亘りますが、ここでは特許の活用について的を絞って述べることと致します。

 一般に特許制度を利用する方々は、広い権利の特許をいかに取得するかいう点に大きな関心をお持ちのことと思います。
特許取得の確率を高めるには、特許出願前の先行技術調査が非常に重要になります。
先行技術調査は、従来は専門の調査会社に依頼したり、検索のためのデータを蓄積している事業者と利用契約が必要となるなど、一般の企業、研究者の方にとっては利用しづらい面もありました。

 一方で、最近では特許庁のホームページ上で公開されている特許電子情報図書館(IPDL)を利用すれば、手軽に先行技術(特許出願情報)の調査を行うことができます。
先行技術調査を行うことにより、出願しようとしている発明の特許性をある程度予測することができる他、他社の開発動向、注力分野、どの分野であれば事業化が可能か等を読み取ることが可能です。
また、権利取得の面では、特許出願の明細書中に先行技術文献が示されている出願は、示されていない出願に比較して特許査定率が高いことがデータ的に裏づけられており、又、法律的にも平成14年9月1日の出願より先行技術文献の開示が義務付けらました(特許法36条4項2号)。

 仮に、出願を意図する発明と、同一若しくは類似する発明を含む特許出願が検索された際は、将来の特許権侵害を回避するために、製品の設計変更、事業自体を見直すことも場合によっては必要になってきます。
或いは、どうしても事業化を欲する場合は、権利の有効性、特許化されているか(特許化されている場合はいつまで存続するか)を勘案し、有効性に疑義がある場合は特許無効審判の請求の検討、或いはライセンス交渉を行うかなど、先行技術の調査は今後の方針を決定する有力な材料ともなります。

  そもそも特許制度の目的は、積極的に技術の公開を促すことにより、技術改良を促進し可及的速やかに技術を進歩させるところにあります(特許法第1条)。
つまり、先行技術調査は、権利取得の可能性を見極めるのみならず、企業、研究者にとって非常に多くの技術情報をもたらしてくれるものですから、定期的に先行技術調査を行うことによって研究開発の方向性を常に確認しておくことは意義があるといえるでしょう。

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