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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第7回
特許流通事業
 
『NOASTEC』第19号 平成15年1月22日発行
 今回は発明協会が行っている特許流通事業について述べさせて頂きます。

 現状の経済不況は、我が国が経験したことのない深刻な様相を呈しておりますが、発明協会では、特許流通という点から技術活動を活発化させ、不況の打破を図らんとしております。

 現在、発明協会が行っております特許流通事業とは、広い意味で技術移転又は技術交流を意味し、そのうち、特に特許を媒介とした技術交流を行うことであるといえます。
特許を媒介とするのは、特許によって移転しようとする技術がプロテクトされていれば、競合他社に対し優位性を保持することができますので、利益確保の点で有利であり、製品化に繋がり易いという効果があります。技術交流は、古くは種子島の鉄砲伝来、太平洋戦争中であれば、ドイツのレーダー技術を金塊などと引き換えに移転しようとしたことがあるなど、その歴史は古いと言えます。

 現状の経済状況を受けて、政府はプロパテント政策(特許重視政策)を打ち出し、その一環として大学の知的資産に目を向け始め、大学等技術移転促進法の制定により、北海道ティー・エル・オーのような経済産業省承認の技術移転機関が全国で28機関ほど設立されるに至ってます。

 技術移転機関の目的は、北海道ティー・エル・オーを例にとりますと、北海道全域の大学の研究成果を特許化(特許出願)し、その特許を企業にライセンスし、得られた実施料(ローヤリティ)を研究者に還元し、還元された実施料を元に研究を更に発展させると言う知的創造サイクルの構築にあります。
つまり、大学の先生方の研究シーズを産業界のニーズとマッチングさせるということが、北海道ティー・エル・オーに課せられた一つの使命であり、今盛んに言われている産学連携の一形態を実践するという事になります。

 それでは現実に大学からの技術移転がうまくいっているかと言う点ですが、大学の先生方の研究シーズと産業界が求めるニーズには相当なギャップがあり、理想的な状態になるまでには、まだ時間を要すると言うのが現実です。その原因は大学の先生方は基礎研究を中心にやられている方が多く、実用化を視野に入れた研究が少ないということ、特許よりも論文重視と言った今までの流れがあります。

 このような状況を打破するため、国立大学では独立行政法人化とともに知的財産本部の設置が予定されるなど、その動きはまさに風雲急を告げております。

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