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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第11回
出願審査請求料等の見直し
 
『NOASTEC』第23号 平成15年5月20日発行
 今回は、出願審査請求料等の見直しについて説明致します。

 平成16年4月1日以降の特許出願につき、出願料(いわゆる印紙代)を引き下げるとともに、出願審査請求料の引き上げ、特許料(いわゆる年金)の引き下げが予定されています。
その目的は、端的に申し上げますと特許出願に要するコスト負担の不均衡を是正することにより、特許出願から特許維持までのトータルコストを削減し、企業、公設研究機関の知的財産戦略を一定の方向に導くためと言うことになります。
その内容ですが、出願時に特許庁に納付する印紙代を現行の21,000円から16,000円に引き下げること、且つ出願審査請求料の基本料金を現行の84,300円から168,600円の2倍に引き上げること(請求項の数に応じて定まる部分も現行の2倍)、特許維持に必要な特許料については平均的な出願の場合で、現行特許料の約2分の1に引き下げることが骨子となっています。

 これらのうち、出願審査請求料は現行料金の2倍と言う大幅な引き上げ幅になりますが、その理由として、第1に、平成13年10月から運用されている出願審査請求期間の3年への短縮に伴う審査請求件数の増加によって、2002年現在の審査待ち期間が24ヶ月に達し、特許庁としても案件の早期処理に向け、抜本的な対策を採ることに迫られているためです。
つまり、審査案件の早期処理のために、審査業務の一部アウトソーシング化、審査官の増員、審査補助員制度の拡充など、審査体制の強化が必須であり、そのための財政的な裏づけが必要であるということです。
また、第2に、戻し拒絶率、つまり審査官が一次審査で通知した拒絶理由に対して、出願人が何ら応答することなく拒絶査定となる案件の割合が5分の1に達していることがあります。
これは、出願人が十分な先行技術調査、技術の価値評価を行うことなく特許出願を行った一つの結果を示すものであり、特許出願そのものの質的な向上を特許庁サイドとして出願人に求めているわけです。

 一方、今回は、前述の審査請求料の引き上げのほか、特許維持に必要な特許料(年金)を引き下げることが、同時に予定されています。
即ち、請求項の数が約8項、特許維持期間が9年である平均的な特許出願の場合には、トータルコストが現行料金で計算した場合の約48万円から、改正後の料金では38万円と低減されることが大きな特徴です。
要するに、今回の料金関係の改正は、出願から特許維持までのトータルコストを現行より低減し、特許戦略に対して積極的、且つ正当な考え方を持つ企業、公設研究機関(地方自治体を含む)等を側面支援していくねらいがあります。

 今回の料金関係の改正に対しては、審査請求料の値上げという面がクローズアップされるきらいがありますが、全体としては科学技術創造立国を目指す我が国の考え方に沿った適切な改正であると考えられます。


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