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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第12回
出願審査請求料返還制度
 
『NOASTEC』第24号 平成15年6月20日発行
 前回、出願審査請求料等の見直しについて説明しましたが、今回はこれに伴って導入される出願審査請求料の返還制度、改定特許料の前倒し適用について解説致します。

 審査請求料返還制度(以下、「本制度」という。)は、審査請求後、出願人の知財戦略、事業戦略の変更等によって、権利取得の必要性が低下した特許出願を取り下げた場合に、請求により審査請求料の一部(1/2を予定)を返還する制度です。
本制度は、出願人に対し更なる費用節減の機会を提供しようとするものですが、まず、現行では審査請求後、審査待ちの期間中に出願を取り下げたとしても、既に特許庁に納付済みの審査請求料は返還されませんが、これに対し、本制度では、審査待ちの期間中に当該特許出願を取り下げた場合には請求により審査請求料の一部を返還することとしています。
注意点として、あくまで本制度が適用されるのは審査待ち期間内(審査官によって実体審査に着手されるまで)に出願を取り下げ、又は放棄することが要件であり、かつ納付済み審査請求料の返還請求という意思表示が必要であると言うことです。

 また、本制度は、料金体系の急激な変化の影響を緩和する目的から、施行日である平成16年4月1日前に出願された現行料金が適用される特許出願にも前倒しで適用されることとなっておりますので、既特許出願の審査請求を行う予定のある方は、このような制度があることを配慮されるのもよいと思います(但し、実際の運用は平成16年4月1日以後である点に注意)。
本制度によって、特許庁サイドとしては真に権利化を欲する出願だけを審査すると言う本来の審査請求制度の趣旨に立ち返ることができ、ひいては審査待ち期間の短縮をも図ることが出来るわけです。

 次に、改定特許料の前倒し適用ですが、前回、特許維持に必要な特許料を、平均的な出願の場合で、現行特許料の約2分の1に引き下げることが予定されている旨を説明しましたが、改定特許料についても施行日(平成16年4月1日を予定)以前の特許出願で、施行日以後(平成16年4月1日以後)に審査請求される全ての出願に対して、改定特許料を前倒しで適用することとなっております。
即ち、施行日前の出願についても先行的に引き下げ後の特許料が適用されますから、減額効果を早期に得られるメリットがあるわけです。
ここで、具体的な数値を示しますと、平成16年4月1日前になされた特許出願につき、平成16年4月1日以後に出願審査請求を行えば、請求項が約8項、存続期間9年の平均的な特許出願の場合、特許庁に支払うトータルコストが約29万円となり、現行の料金体系の特許出願では約48万円ですから、20万円弱と言う大幅な節減効果が得られます。

 出願人の皆様におかれましては、上述の制度の内容をよく理解して頂き、前倒し措置を特許管理に上手く繰り入れることで、費用の節減を図り効率的な特許戦略を採る事をお勧めしたいと思います。


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