今回は、前々回に述べました秘密主義戦略に関し、営業秘密として保護されるための要件について紹介させて頂きます。 営業秘密の管理を行う上で、判例では、 ① 営業秘密が法律上の保護を受けるために必要な「ミニマムの管理水準」と、 ② 紛争の未然防止のための「望ましい管理水準」の2通りに分けて判示しております。 営業秘密の「ミニマムの管理水準」ですが、その保護される要件、内容は以下の通りです。 ① 営業秘密の「ミニマムの管理水準」 (1) 秘密管理性(秘密として管理されていること) 秘密情報にアクセスできる者を制限するとともに、同情報にアクセスした者 にそれが秘密であることが認識できること。 (2) 有用性(事業活動に有用な情報であること) 例えば、保有することにより経済活動の中で優位な地位を占めることがで きるような情報であること。 (3) 非公知性(公然と知られていないこと) 既存の書物・学会発表等から容易に引き出せない情報であること。 過去の判例では、アクセス制限(パスワードの設定、保管場所の施錠、秘密保持契約の未締結、秘密の管理者の不存在)の欠如、「マル秘」、「部外秘」等の機密事項である旨の客観的認識可能性が欠如していることを理由に、営業秘密として保護されない事案が多いとのことです。 次に、「望ましい管理水準」は以下の通りです。 項目だけを挙げさせて頂きますが、ミニマムの管理水準と併せて参考にして下さい。 ② 営業秘密の「望ましい管理水準」 Ⅰ.物的・技術的管理 (1) 秘密管理情報の区分~秘密情報の区別、秘密性のレベルを区別 (2) アクセス制限~アクセス権者の限定等 (3) 客観的認識可能性~営業秘密の表示、秘密性のレベル表示の電子 情報化 (4) 情報の形態毎の管理~記録媒体の管理、パスワード管理の徹底 (5) 施設等の管理~本人確認等のセキュリティ Ⅱ.人的・法的管理 (1) 自己情報の管理~従業員等に営業秘密管理義務を課す等 (2) 他社情報の管理~情報取得時に秘密管理範囲を特定する等 Ⅲ.組織的管理 (1) 管理策の策定~秘密管理方針を社内で策定する (2) 管理策の実施~管理責任の明確化 (3) 管理情報の監査~定期的な監査 (4) 管理策の見直し~監査結果に基づく見直しの実施 |
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