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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第18回
特許を巡る最近の傾向
 
『NOASTEC』第30号 平成15年12月22日発行
 今回は、特許出願を巡る最近の傾向について、ご紹介いたします。

わが国の特許法は、特許出願の実体審査につき、出願後の審査請求を待って審査を行う出願審査請求制度(特許法48条の2)を採用しておりますが、現在、特許庁における審査待ちの特許出願、いわゆる滞貨案件は50万件に達しております。
その結果、特許庁から拒絶理由の通知など、最初の応答(ファーストアクション)がなされる期間は、約24ヶ月を要する状況となり、3年連続で待ち時間が延長しています。
これに対して、特許庁は、任期付審査官の登用、先行技術調査の外注化、実施関連出願や特段の事情がある出願については早期審査を受け付けるなど、様々な対策を講じておりますが、審査の遅延を中々改善できないと言うのが実際のところです。

 また、以前ブームになりましたビジネスモデル特許は、2000年をピークに減少し、特許査定率も14.5%まで低下し、特許を取得するのがなかなか困難な技術分野の一つとなっております。
これは、端的に言えば、従来ヒトが行ってきたことを、単にコンピュータ上で行わせたといった出願が非常に多く、特許に値する技術的効果が少ないと言うことが原因のようです。

 一方、企業など出願人の側は、未利用の保有特許を数多く抱えており、保有特許のうち、未利用特許の割合が実に平均約6割に達していることが企業活動基本調査(経済産業省)により明らかになっています。
未利用の保有特許が存在すると言うことは、本来しなくてもよい特許出願や審査請求を行ったことに他なりません。
即ち、従来における企業の知的財産部門は、特許出願や審査請求を行うか否かの判断について、今後の自社の事業展開、戦略、マーケッティングといった側面を十分に反映させることなく、単に予算消化のために特許出願や、審査請求を行うようなことが頻発しており、出願の価値判断を十分に行っていない場合が多かったということになります。
このような現状に対し、多くの企業は知的財産戦略の誤りを認めていますが、この誤りの原因として、前述したように、研究開発部門と知的財産部門との連携不足、企業戦略と知的財産戦略とをリンクさせていないなどの問題が根底にあるわけです。
大量生産によって利益を得る時代が終焉を迎えつつある現在、以前、特許部と言われた知的財産部門は、単に回ってきた特許の提案書を処理し、権利化手続を行えばよいというものではなく、将来の知的財産を核とした経営戦略に向けた情報収集、分析、判断を行う部署に変貌を遂げねばならず、今後、企業内における知的財産部門の役割は益々重要になるであろうと思われます。


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