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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第19回
特許異議申立制度の廃止
 
『NOASTEC』第31号 平成16年1月20日発行
 今回は、特許異議申立制度の廃止について、解説致します。

 従来は、特許の有効性に対する不服申立手段として、特許異議申立制度、特許無効審判制度の2つがありましたが、平成15年法改正により、特許異議申立制度を特許無効審判制度に統合し、特許異議申立制度を廃止することになりました。

 その理由ですが、第1に、特許異議申立制度は特許掲載公報発行の日から6ヶ月間が申立期間であり、同期間が極めて短いために、同業者は他人の異議申立の内容を見極める作業を行うことができず、その結果、不要な異議申立を含む複数の異議申立を招来し、特許権者に過度の負担を強いる結果となっていたこと。
第2に、特許異議申立の審理手続の構造は、審査に類似した査定系審理構造をとっているため、申し立て後、申立人が審理手続に関与することができず、異議申立人にとって納得のいく結論が得られない。
第3に、異議申立の結果に対して異議申立人には不服申立の手段がなく、特許無効審判を再度請求しなければならないなどの問題点がありました。

 そこで、平成15年法改正により特許異議申立制度を、特許無効審判制度に統合して廃止するとともに、これに伴い、審判に関する諸規定の改正を実施しました。
具体的には権利の帰属関係以外の無効理由については、何人も特許無効審判を請求可能にし、従来必要だった請求人適格として特許権者との利害関係は要求されないこととなりました。
また、審判手続は、「当事者対立構造」を従前通り維持して、審判の請求人、被請求人(特許権者)同士がお互いの主張を戦わせながら審理が進行するようにし、両当事者の納得がいくような形で手続を行えるようにしています。
この点、特許異議申立制度では、特許庁と特許権者との間で手続が進行する査定系審理構造であり、又、特許に対する不服申立を無効審判制度に一本化したことにより、特許庁段階での同一審級手続が繰り返されることがなくなり、結果として訴訟経済の要請に沿ったものとなっています。


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