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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第20回
産学連携~最近の傾向
 
『NOASTEC』第32号 平成16年2月20日発行
 今回は、産学連携について私見を述べたいと思います。

 近年、大学や公設研究機関等、学側の知への期待が富に高まっておりますが、実際のところ、学側にこのような傾向に対し、大きな戸惑いもあるように感じます。
では、産学連携を成功に導くためのポイントはどこにあるのでしょうか。

 まず、産側に要求されるポイントとして、研究を大学等の先生に全面的に任せるのではなく、自らも積極的に行うという気持ちが非常に大切であると存じます。
と言いますのも、研究成果物を製品化して世に成果を問うのはやはり産側である企業ですから、共同研究の便宜上や単に公的資金獲得のため、補助金申請の申請書等に名前を連ねると言った中途半端なスタンスでは到底成功は望めません。
やはり、産側が熱心に、学側にアプローチし、熱意をもって研究、製品化に当たる必要があることは言うまでもありません。
いわゆるデスバレーと言った研究開発の死の谷を、学側に委ねると言った考え方もある一方で、やはり社会のニーズを知り尽くした産側が研究、製品化をリードし、研究員を大学に派遣するぐらいの熱意が、産学で成果を挙げるには必要かと存じます。

 他方、学側に要求されるポイントとしては、産側の下請け的な形での連携は教育機関でもある大学等の立場を考慮すると好ましくありません。
産側のニーズに沿った実学的な研究をしなければ、産学連携が急加速しない点は理解できますが、連携に際しては学問の塔としての自立性を維持し、矜持をもったスタンスで望んでほしいと思います。
産側が、安易にできない研究をするのが大学の役割であり、学問の自由を貫く姿勢が必要です。
このことこそが、高いレベルの研究を維持し、ひいては社会全体としての技術レベルの向上に寄与するものと信じます。

 一方で、平成16年4月からの国立大学の独立行政法人化に伴い、外部資金の受け入れ、競争原理の導入など、国立大学の先生方には重い課題が突きつけられています。
また、事務側には、柔軟な共同研究契約の締結が求められるなど、産学連携にまつわる課題は山積しており、過渡的な状況での混乱が産学官の間で予想されます。
このように、風雲急を告げる状況の中、産と学との調和を目指した活動を心がける必要があり、安易な成果に走ることなくじっくりと腰を落ち着けた対処が求められるところです。


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