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いわき特許事務所は特許・実用新案、意匠、商標を専門とする事務所です。

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コラムCOLUMN

「知的財産の活用」 ~弁理士 岩城 全紀

第25回
弁理士がコンサルティングを行うということ
 
平成23年6月
 近年、我々弁理士の間ではコンサルタント業務を業務の一つとして標榜、若しくは追求していこうと考える事務所が増加しているように感じます。これは我々弁理士に限らず税理士や弁護士、中小企業診断士などの士業全般に拡がりを見せております。このことは、バブル崩壊ひいては近年のリーマンショック以降の日本経済の低迷と、あながち無関係ではないでしょう。経済規模の縮小に伴い、弁理士の場合でいえば、本来業務である特許出願等の件数が減少する一方、有資格者の増加など、特許事務所としてのビジネス的環境は年々厳しさを増しております。このことは、ほとんどの弁理士が実感していることではないでしょうか。出願業務に代わる新たな仕事として、知的資産経営等のコンサルタント業務を目指す弁理士が増加するのも頷けるところです。

 しかし、私はコンサルティングを標榜することは良いとしても、弁理士にとってのあくまで基本は出願業務や企業における知財管理等の本来業務にあると認識しております。本来業務である特許、実用新案登録、意匠、商標の各権利化業務、不正競争防止法に基づくノウハウの管理、著作権等は、弁理士にとっていつの時代も変わることのない普遍的な仕事であり、これらを抜きにして単なるコンサルティングのみを行う業務は、少なくとも現在の私にとっては考えられません。

 中小企業様が、お客様として多い弊所の場合は、普段の権利化業務に付随し、必然的にコンサル的な対応を求められます。例えば、お客様に代わって先行技術調査や先行商標の調査を行う必要に迫られることも多々あります。調査結果に基づいて出願形式を特許とするか意匠とするかを助言させて頂いたり、設計変更若しくはネーミングの変更を進言することは日常茶飯事です。大企業の知財部であれば極々当たり前のことですが、マンパワーが不十分な中小企業様の場合は出願を1件行うだけでも多くの手間・暇を要することも事実です。このような仕事は、あえてコンサルティングと結びつけて申せば、我々弁理士の専門性を生かしたいわゆるコンテンツコンサルティングの範疇に属するといえるかと思いますが、このようなコンテンツコンサルティングから更に一歩踏み込んだいわゆるプロセスコンサルティングを行うには、今までの弁理士業務とは異なる新たな知識、経験が求められ、さらなる研鑽が必要になります。

 その一方で、弁理士の本来業務を、それなりに一人前に行うことが出来るようになるには私の経験で申し上げますと、相当の年月を要しますし、これからもエンドレスで本来業務に対する勉強が続きます。このような状況下、プロセスコンサルティングを業務として行っていくのは、本来業務だけでも精一杯の状況を考慮すると現実的ではないともいえます。

 しかし、真の意味で社会に貢献するには、弁理士として出来うる範囲でプロセスコンサルティングに関与していくことが時代の趨勢・要請として求められていることも事実です。現在、私としては今後更にプロセスコンサルティング、ファシリティコンサルティングについて異業種の方々との連携、弁理士会の委員会での勉強、書籍等を通じて自分なりに研究を進め、弁理士としての本来業務にプラスして行きたいと考えております。決して本来業務を疎かにせず、弁理士としての専門性を十分に活かしたコンサルティングを目指し、継続的な研鑽を自身のライフワークとして行って参る所存です。

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